検査の途中で、頭痛の話を忘れかけた日

2026年02月9日

その日は雨でした。
吹田・江坂あたりって、雨の日は妙に足元が重たく感じるんですよね。
アスファルトが黒く光って、駅から歩いてくるだけで少し疲れる。

その日、40代の女性が来院されました。
主訴は「慢性的な頭痛」。

「週に2〜3回は薬を飲んでます」
「肩こりはもう、ずっとですね」

こういう入り、正直かなり多いです。

問診を書いてもらっている間、歩き方を何気なく見ていました。
ここ、私はわりと無意識にやっています。

すると、やっぱり気になる。

・歩幅が小さい
・足音が外側に逃げる
・靴底の外側だけが減っていそうな感じ

頭痛の話なのに、
私の意識はすでに足元に引っ張られていました。


「立ってみましょうか」で、だいたい空気が変わる

ベッドに寝てもらう前に、まず立位。

「ちょっと楽に立ってみてください」

そう言うと、ほぼ全員が
“姿勢を正そう”とします。

胸を張る
顎を引く
肩に力が入る

私は慌てて止めます。

「いやいや、頑張らなくていいです。
いつも通りで大丈夫ですよ」

その方も、ふっと力を抜きました。

その瞬間、はっきり見えた。

重心、ほぼ外側。親指が完全に浮いている。


「頭痛と足、関係ないですよね?」と聞かれて

検査の途中で、こう言われました。

「先生、頭痛なんですけど…
足、そんなに関係あります?」

この質問、責めている感じじゃありません。
純粋な疑問です。

私は少し考えてから、こう答えました。

「関係ないように思いますよね。
でも、首って“支え役”なんです。
足が仕事しないと、首が残業するんですよ」

少し笑われました。

でも、こういう比喩のほうが、
現場では伝わりやすかったりします。


足元の検査で、本人が一番驚く

足裏に軽く触れます。
左右差を確認します。

「こっち、感覚どうです?」
「……あれ?よく分からないです」

反対側。

「こっちは?」
「こっちは、分かります」

これ、かなり重要な反応です。

足裏の感覚が鈍いと、
身体は正確にバランスを取れません。

結果どうなるか。

“分かりやすい場所”が頑張る。

つまり、首・肩。


足を整え始めたら、頭痛の話が止まった

施術は、正直地味です。

足指を軽く使わせる
足裏の接地を作る
足首の動きを出す

バキッとも鳴らさないし、
「効いてる感」も少ない。

でも途中で、その方がぽつっと言いました。

「先生、さっきより息しやすいです」

さらに数分後。

「あ、肩…今、力入ってないかも」

この時点で、
もう頭痛の話は出てきません。

私はこの瞬間が、わりと好きです。


首を触る前に、もう変わっている

最後に、軽く首を触れました。
正直、最初より全然柔らかい。

「さっきと比べて、どうです?」
「軽いです。なんでですか?」

その「なんで」が、すべてだと思っています。

揉んでない
押してない
でも変わった

それは、首がサボれる環境を作っただけ。


「頭痛って、首の問題だと思ってました」

帰り際、その方が言いました。

「ずっと、首が悪いんだと思ってました」
「足なんて、考えたことなかったです」

私はこう返しました。

「そう思いますよ。
でも首って、最後の担当なんですよ」

これは完全に、私の現場感覚です。


別に、足が万能だとは思っていません

誤解してほしくないのは、
「足を触れば全部治る」なんて思っていないこと。

内臓の影響もあります。
ストレスが強い人もいます。
睡眠が崩れているケースもある。

でも、足元が崩れたまま首だけ見るのは、やっぱり違和感がある。

これは、何年も現場に立ってきての正直な感覚です。

正直に言うと、
「頭痛を治します」と簡単には言えません。

なぜなら、頭痛ほど原因が一つじゃない症状はないからです。

吹田・江坂で整骨院をやっていると、
同じ「頭痛」という言葉でも、中身がまったく違う人が来ます。

・首の後ろが重たくなってくる人
・こめかみがズキズキする人
・目の奥が詰まる感じがする人
・雨の日だけ決まって出る人

これを全部「頭痛」とひとまとめにして、
同じ施術をするのは、私はどうしても違和感があります。


頭痛の人ほど「自分の体を感じていない」

これは少し厳しい言い方かもしれませんが、
現場で何年もやってきて、強く感じていることです。

頭痛が慢性化している方ほど、

・どこに力が入っているか分からない
・呼吸が浅い自覚がない
・立っていても体のどこで支えているか分からない

こういう状態になっています。

本人は真面目なんです。
我慢強い。
「これくらい普通」と思っている。

でもその結果、
身体の感覚がどんどん鈍くなっていく。

私は頭痛を
「感覚が鈍くなった末に出る、最後のブレーキ」
だと考えています。


頭痛の検査で、いきなり首を触らない理由

当院では、頭痛の方でも
いきなり首を押したり、回したりすることはほとんどありません。

まず見るのは、

・立ったときの重心
・呼吸の入り方
・目線の位置
・足裏の反応

です。

「頭痛なのに?」と思われるかもしれません。

でも、
首は“調整役”であって“司令塔”じゃない

司令塔は、もっと下にあります。


足元が安定しない人の頭痛は、再現性が高い

少し専門的な話になりますが、
足元が不安定な人は、頭痛の出方に特徴があります。

・夕方以降に出やすい
・立ち仕事、もしくは座りっぱなしで悪化
・休んでもスッキリ抜けない

これは、
重力に抗い続けている頭痛です。

足で地面を捉えられない

身体が常に微調整を続ける

首が頭を固定し続ける

後頭部・側頭部が張り続ける

このタイプは、
首だけを緩めても、ほぼ確実に戻ります。


施術で大事にしているのは「緩める」より「下ろす」

頭痛の施術というと、
「緩める」「ほぐす」というイメージが強いと思います。

でも、私が意識しているのは
力を下ろせる場所を作ることです。

足裏に体重を下ろす
骨盤に体重を乗せる
背骨が“立つ”位置を作る

これができた瞬間、
首は勝手に休み始めます。

施術中、
「急に頭が軽くなりました」
と言われることがありますが、

その多くは、
首を触った直後ではありません。

足・骨盤・呼吸が整ったあとです。


頭痛がある人の呼吸は、ほぼ例外なく浅い

これはかなり断言できます。

慢性的な頭痛がある方で、
深く自然に呼吸できている人を、
私はほとんど見たことがありません。

しかも本人は、
「呼吸が浅い」という自覚がない。

胸だけで吸って
首や肩が一緒に動く呼吸。

この状態では、
首は一日中、呼吸補助筋として働かされます。

それで頭痛が出ないほうが不思議です。


「首を休ませる」ための施術という考え方

当院の頭痛施術は、
「首をどうするか」ではなく、

「首を働かせなくていい状態をどう作るか」
を考えています。

だから、

・足元
・骨盤
・背骨
・呼吸

この順番が崩れることは、ほぼありません。

首は最後。
それも、必要なときだけ。

この順番を守るようになってから、
「頭痛が出る間隔が空いてきた」
という声は、明らかに増えました。


薬が悪いとは思っていません

ここも誤解されたくない点です。

頭痛薬を否定するつもりは、まったくありません。
必要なときは、使えばいい。

ただ、
「薬が効かなくなってきた」
「量が増えている」
という段階に入ったら、

それは身体が
別のアプローチを求めているサイン
だと思っています。


日常で意識してほしい、頭痛の人向けのポイント

難しいセルフケアは出しません。

・立ったとき、足裏に体重が落ちているか
・無意識に歯を食いしばっていないか
・呼吸のとき、肩が動いていないか

この3つで十分です。

頭痛の人は、
無意識の「力み」が本当に多い。

気づけるだけで、
体は少しずつ変わります。


頭痛があるから、人生が悪いわけじゃない

最後に、少し個人的な話をします。

頭痛を抱えている方は、
「自分は体が弱い」と思いがちです。

でも、私の印象は逆。

無理がきく人ほど、頭痛が出る。

限界まで頑張れる人。
周りに合わせられる人。
自分のことを後回しにできる人。

その結果、
体が代わりにブレーキを踏む。

それが、頭痛。

だから私は、
頭痛を「敵」だとは思っていません。

「そろそろ、気づいてほしい」
というサインだと受け取っています。


足元から始める頭痛へのアプローチ

首を責めない。
肩を責めない。
まず、支えを作る。

吹田・江坂のまほろば鍼灸整骨院では、
この考え方で頭痛と向き合っています。

時間は少しかかるかもしれません。
でも、
「戻りにくい身体」を目指すなら、
この道しかないと思っています。

もし今、
頭痛を「仕方ないもの」にしようとしているなら、
その前に一度、
自分の足で立っている感覚を、
静かに感じてみてください。

そこから、
変わり始める人を、
私は何人も見てきました。